アニメは現実逃避か?~Aqours 3rd Love Live! Tourを終えて~

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  「矢吹くんは・・・・さみしくないの?同じ年頃の青年が海に山に恋人と連れ立って青春を謳歌しているというのに」 

「・・・」

「矢吹くんときたら、来る日も来る日も薄暗い部屋に閉じこもってアニメを観たり、スクフェスをしたり、声優の動画を再生したり、振り付けを覚えたり、サントラを聴き込んだり・・・たまに明るいところに出るかと思えば、そこはオタクの汗のにおいがただよう、眩しいほどの照明に照らされたライブ会場という檻の中・・・。オタクの声援が立ち込めた会場でおっさんの集団に紛れ、銀テープを取ろうとするオタクに押されながら天龍源一郎平泉成のようにガラガラ声になって、コールするだけの生活・・・しかも身体はまだどんどん大きく伸びようとしているのに食費を抑えるために食べたいものも食べず、飲みたいものも飲まず・・・惨めだわ、悲惨だわ、青春と呼ぶにはあまりにも暗すぎるわ!」

「ちょっと言葉が足らなかったかも知れないな・・・。オレ、負い目や義理だけでオタクやってるわけじゃないぜ。推しを好きだからやってきたんだ。紀ちゃんの言う青春を謳歌するってこととちょっと違うかも知れないが、燃えているような充実感は今まで何度も味わってきたよ。オタクだらけの会場の中でな。そこいらの連中みたいにブスブスとくすぶりながら不完全燃焼しているんじゃない。ほんの瞬間にせよ、眩しいほど真っ赤に燃え上がるんだ。そして、あとには真っ白な灰だけが残る・・・。燃えかすなんて残りやしない、真っ白な灰だけだ。そんな充実感はオタクをやる前にはなかったよ。わかるかい、紀ちゃん。負い目や義理だけでオタクをやってるわけじゃない。推しが好きなんだ。死に物狂いで噛み合いっこする充実感がわりとオレ、好きなんだ。」

 

…はい。ということでね、皆さん、ボンジュルビィ。 

今日も今日とて、ラブライブ!サンシャインのお話をしていきたいと思います。

6月9日のメットライフドームの埼玉公演から始まり、大阪、そして先週の福岡と、ついにAqours 3rd LoveLive! Tour ~WONDERFUL STORIES~、全公演大成功で終了しました!

 いや~すばらしかった。ほんとに。もう楽しすぎて、参加できた4日間すべて完全燃焼でした。前回の2ndからさらに進化したAqoursの姿が見られましたね。今回はテレビアニメ2期放送後初のワンマンライブということで、セトリも2期曲を中心に、幕間では2期本編のダイジェスト映像をスクリーンで流しながら、ライブシーンになるとステージの照明がついて…というのが基本の演出でした。

以下曲の解説です↓

 

埼玉初日はシネマサンシャイン池袋のライブビューイング。飛行機の遅延で遅れてやって来た誰かさんのおかげで開演は間に合わずも、2曲を終えた後のMC時に無事到着。劇場の扉を開ける前から溢れんばかりの声援が聞こえてきました。そして、個人的にめちゃくちゃ楽しみにしていた「“MY LIST” to you!」。めちゃくちゃかわいかった。曲自体もともとかわいい曲だったけど、振り付けがもう、ドンピシャすぎる。振付師の方に100点をあげたい。「ぱぱんぱん」のとこの一年生組、特にふりりんが良すぎてもう。そして二番のあんちゃんの「甘えてみる~・・・ぅ?」の脳トロ部分。予想以上の破壊力で、会場も「フゥ~↑↑↑↑」と大盛り上がりでした。

そして次の曲、何が来るかと思いきや、早くも2期3話挿入歌、「MY舞☆TONIGHT」。LⅤ会場も揺れんばかりの声援で包まれました。やっぱりツアー初日は、セトリのネタバレが無い分盛り上がりがすごい。。マイマイの衣装は残念ながら今回は用意されませんでしたが、μ‘sの輝夜・噫無情・AAみたいなノリで、今後未熟なんかと一緒に着物で披露はありそうですね。この曲も見どころいっぱいで、きんちゃんの必死のウインク、あいにゃのエアギター、「Dancing tonight!」のコールの掛け合い。楽しかった。。

 

2期のダイジェストを挟み、次の曲は個人的に、いや、おそらく全ラブライバーが最も注目していたであろう、第6話劇中歌「MIRACLE WAVE」。アニメ本編では、ラブライブ地区予選を迎えたAqoursが、圧倒的なパフォーマンスで観客の票を集めて勝ち抜くため、3年生が封印していたフォーメーション「AqoursWAVE 」に挑みます。かつてこの練習のために鞠莉が怪我するなど、非常に高難易度の振り付けとなってます。見せ場としては、サビ直前の、センター・千歌によるロンダート&バク転。アニメでは猛練習の末、ボロボロになりながらも諦めずに完成させました。では、この振り付けを声優・伊波杏樹さんにもやらせるのか?ということはラブライバーの間で半年もの間議論されて来ました。当然伊波さんは一端の声優であり体操やダンスの経験があるわけではない。無理にやろうとすれば大怪我にもつながりかねない。大技が見たい反面、やめておいた方がいいという声も多かった。という経緯で、果たしてあんちゃんは跳ぶのか!?というのが今回のライブの最大の見どころだったと言っていいだろう。

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6話の映像が流れ、自分が無理をさせたせいでまた誰かが傷つくことを恐れる果南の前で、初めて千歌がバク転を成功させるシーンでの観客の「おーー!!??」という声が響き渡る中、曲が始まった。会場は異常なまでの熱気に包まれた。

 

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結論を言うと、あんちゃんは跳んだ。AqoursWAVEは完成した。アニメではロンダートからバク転まで間髪入れずに跳んでいたため、ロンダートをした後にあんちゃんが動きを止めたときは観客も一瞬「やっぱりやらないのか」という考えが脳裏に浮かんだことだろう。あんちゃんごめん。だが、曲に合わせるためか、あえて勢いを止めてからのバク転という振り付けになっていた。その瞬間、それまで興奮しながらブレードを振り回していた観客も動きを止め、固唾を呑んで見守っていた。圧倒的なプレッシャーの中で、彼女はそれを成功させた!バク転成功後はもう一同大興奮で会場はかつてないほどのに大歓声に包まれていた。しかもこの曲、センター以外の8人がロンダート前にやるドルフィンっていう腕立てみたいな振りがあるんだけど、これがやってみたら意外と難しい。9人全員、相当練習して臨んだ曲だと思います。ほんとにバク転すんのかな~とか言ってた自分が恥ずかしい。2ndの最後のMCで、「次は絶対みんなをもっとびっくりさせてやるからなー!!」と宣言していたあんちゃん。見事に有言実行だった。どこの世界に、曲中でバク転する女性声優がいるというのか…。言っといてや、出来るんやったら。伊波半端ないって

そして、曲が終わった後のMC。あんちゃんとすわわの「千歌、AqoursWAVEを完成させてくれてありがとう!」のやり取りは果南と千歌そのものだった。ほんとにありがとう。いいもん見せてもらいましたわまじで。「どうだ!Aqoursすごいだろー!!」と叫ぶあんちゃんが最高にかっこよかった。うん、Aqoursすげーよ!!!!

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とはいえ、実はまだめちゃくちゃ序盤。ここで最高潮の盛り上がりを見せたかのように思われたライブは、さらに熱を高めていく。

 

ここからはソロ曲。一日目は千歌、花丸、善子、梨子の4曲が披露されました。それぞれ衣装も振り付けも演出もめちゃくちゃこだわっててすごかった!特に善子ソロでは、イントロが流れるやいなや玉座に座ったあいきゃんが登場。背中には白と黒の翼が。ダンスが得意のあいきゃんがどんな踊りをするのか楽しみにしてたんだけど、一番はまさかの座ったままダンス。中二チックなイスと衣装を纏うあいきゃんがヨハネそのもので圧巻でした。そして2番以降はキレッキレのダンスを披露。ここはたぶん、堕天使キャラを隠そうとしていた善子がAqoursに加入することで自分の気持ちを隠すことなく解放できたっていう表現なんだと勝手に解釈してます。しかもソロ曲はキャスト本人の要望が演出や衣装に色濃く反映されてるってラジオで明かされてて、ヨハネの翼は善子の白とヨハネの黒で、二つの人格の中で揺れる善子を表してるんだとか。おもしろいなあ。

そして幕間アニメを挟み全員ver.の「空も心も晴れるから」に続き「SKY JOURNEY」そして恋になりたいAQUARIUMを披露。恋アクのコールめっちゃ楽しかった!

そして再び2期のダイジェストが流れ、みんな大好き函館回の挿入歌「Awaken The Power」。アニメでは北海道のライバルユニット・Saint Snowの二人を加えて第9話で披露された、妹から姉へ、自らの成長と感謝の気持ちを伝えるために作られた楽曲。4月に行われた函館ユニットカーニバルで披露されると予想されていたものの披露されず、この3rdへと楽しみは持ち越しになっていた分、ミラクルウェーブに負けずとも劣らない盛り上がりを見せました。「Hi!Hi!Hi!」や「Fighting!fighting!」などコールも一緒に出来てめちゃくちゃ楽しかった。

Saint SnowのMCも終わり、アニメダイジェストも終盤、ラブライブ決勝へ。決勝前のこのシーン、個人的にめちゃくちゃ好きなんですよ。メンバーそれぞれが別々の場所に行って、一人の時間を作る…。聖地巡礼もとい、実際にその道を歩いて何を感じるかとか、どんな雰囲気の場所なのかとか、キャラクターの心情を風土から考察する、舞台探訪をするのに向いてると思います。ちなみに僕はぜんぶ行った(^O^)

そして個人的に一番大好きな曲、「WATER BLUE NEW WORLD」。もう、ほんとに尊い。唐突に語彙力を失うほどエモかった。なぜかわからないけど涙が止まらなかった。衣装も演出も好きなんだけど、やっぱ歌詞がグッとくる。諦めずに動き続けて、やっとここまで来た。でも、それぞれが新しい場所へ向かって旅立っていくことを知っている。だからこの時を楽しもうー。エモい!!!!!!なんだこれ、エモすぎるぞ!サビで上から羽がぶわっと舞ったときに鳥肌ぶわーっ(´;ω;`)てなった。まさに決勝にふさわしい曲だと思いました。

ここで、まさかの新規アニメ映像公開。12話終了直後と思われる、ラブライブ舞台裏のシーン。キャラクターの顔は映さず楽屋と衣装のみが映され、それぞれが感謝を伝えたり、互いの成長を讃え合う。このラブライブ特有の、全てをやり遂げたときの、祭りの後のような静寂と切なさ。BGMもめちゃくちゃピッタリ。埼玉のときはそうでもなかったけど、福岡の千秋楽では寂しさのせいかびっくりするくらい号泣してしまった。ちなみにこのシーンのBGMのタイトルはおそらく、「ありがとう、そしてサヨナラ」。エモい…。

からの青空Jumping Heart 」。ラブライブ優勝後のアンコール曲ということで、1stや2ndのときとはまた違う印象だったと思う。歌詞の「みんなとなら説明はできないけど大丈夫さ」の部分がAqoursらしくてすごく好き。

 

アンコールを挟んで「Landing  action Yeah!!」勇気はどこに?君の胸に!、そしてラストの「WONDERFUL STORIES」まで、なんと3曲続けてファンも一緒の大合唱。めちゃくちゃ楽しかった!

特に勇君では、

あんちゃん「夢が~」

会場「たくさーん」

あんちゃん「夢が~」

会場「たくさーん」

あんちゃん「消えなーい」

会場「夢が~!!」

と、完璧な掛け合いが!なんの打ち合わせもしてないのにさすがラブライバー、奇跡だよ!!1stの想ひとのりきゃこコールといい千葉ファンミでの会場全体紫色といい、こういうのでいいんだよ。。

 

そして今回のツアーはなんといってもMCがよかった…!

きんちゃんのセンター宣言やふりりんの8連ありがとうも然ることながら、やっぱり今回の記事の主題について書きます。

 

アニメは現実逃避か。

この議題、オタクなら誰もが一度は通る道だと思います。一般的にオタク=残念な人であり、現実に不満があるから虚構に走るのか、虚構に走るから現実がダメなのか。その因果関係は謎ではあるけど、少なくとも大体の人が前者の解釈を取るだろう。それが一般論である限りオタクへの偏見は消えないし、そもそもオタクのほとんどはそうである。(偏見)

では、アニメを見たりグッズを集めたり、娯楽へ進むのは単なる「逃げ」なのだろうか?問題はそこだ。ここで振り返っておきたいのが、アニメ一期10話の、梨子ちゃんとピアノコンクールの話だ。

得意だったピアノが突然弾けなくなり、逃げるように東京から引っ越してきた梨子ちゃん。そこで千歌によって半ば強引にスクールアイドルを始めることになり、次第に彼女にとってもAqoursが居場所となっていた。そんなとき訪れたピアノコンクール開催の知らせ。それは、奇しくもラブライブ予備予選と同じ日取りだった。当然メンバーに迷惑をかけないためにも予備予選出場を選ぼうとする梨子。しかし、千歌はそれを止め、ピアノコンクールに出るよう促すのだった。その所以は最初に梨子をスクールアイドルに誘ったときの言葉、「一緒にスクールアイドルを続けていく中で梨子ちゃんの中で何かが変わってまたピアノに前向きになってくれたら嬉しい」というものだった。千歌に背中を押されコンクールで演奏を無事成功した梨子は、苦しい思い出となっていたピアノと向き合うことでスランプを脱し、再びピアノを「好き」になることが出来たー。

というこの話が、実は今回のライブMCと重なる部分が多くて。あんちゃんの「みんなそれぞれ違う夢があると思うけど、私たちのライブが力になってほしい」という言葉だったり、きんちゃんの「日々いろんな大変なこととか辛いこともあるだろうけど、ライブでパワーもらって頑張って」という内容のお話だったり。つまり、アニメやライブが只の現実逃避じゃなくて、何かを頑張る原動力にすること、それがオタクの理想の形というか、本来あるべき「与える側」と「受け取る側」、ファンとアイドルだったりスターとの関係性なんだよね。時には悲しみから救われるかもしれないし、夢に向かって頑張る勇気をもらえるかもしれない。ラブライブ!はそういう前向きな内容の作品だから、くすぶってる気持ちも何かに打ち込みたい気持ちも全部受け止めてくれる場所に成り得るわけで。だから、よく〇〇にいくら注ぎ込んだとか、〇〇行くために学校休んだとか、そういうことを誇らしげに語ってマウント取ろうとするオタクがいるけど(中学くらいのときはそんな感じだった気がする)、やっぱりそうじゃなくて、オタクやるために何かを犠牲にすることは矜持じゃない。そうすべきではないから。それが正に一期の梨子ちゃんのピアノの話のメッセージで。現実と趣味と、どちらも否定できない自分自身ならば、何かを掴むことで何かをあきらめない!この精神を我々は忘れてはならないだろう。

 

とまぁ長くはなりましたが、これが3rdを通して思ったことでした。

Aqoursすげーんだぞ!!!!

それが伝わったなら満足であります。

あと二日目の現地できんちゃんに〇作ったの指してもらえたのがめちゃくちゃ嬉しかった…。やっぱり僕の最推しは高槻かなこさん。

それじゃ今日は、ここらでばいっ。